1620156月

筆跡心理学をベースにした筆跡鑑定の重要性 その2

ドラマでおなじみの筆跡鑑定は、

科捜研の文書鑑定の分野に属し最新のハイテク機器を駆使して刑事事件の捜査を行います。

書き足した部分がが浮き出たり、

メーカーによって異なるインクの種類が判明したり筆圧だって数値化できます。

素晴らしい技術です。

しかし、残念なことにこれらの科警研や科捜研、

または警察系OBが作成する鑑定書は筆跡心理学をベースにしているわけではありません。

文字は人が書くものであり人は時として理解に苦しむ行動をするものです。

犯罪を犯す時点で人は特殊な心理状態に置かれているわけですから、

そのような特殊な心理状態を数値化したもので割り切ろうとしたり解明しようとしてもおのずと無理を生じます。

人の心理は必ずグレーゾーンがあります。

そこを無理やり数値化したものにあてはめたところで真実の追求にはならないのです。

人の心理は行動に影響を及ぼします。

文字を書くことは行動の一つですので手書きの文字には必ずその時の心理が関わってくるのです。

このことと前回触れた個人内変動の関係については後で述べます。

私達民間の鑑定人が扱う案件はほとんどが遺言状や借用書や誹謗中傷文書などに関わる「民事裁判」です。

ですからインクの種類や時系列の解明など物的証拠を解明する要素が強い科警研や科捜研が扱う刑事事件と、

文字に表れる筆跡個性を明らかにして筆者識別に繋げていく私達が扱う民事とでは鑑定で明らかにする部分が微妙に異なります。

たとえば遺言書の偽造です。

確かに犯罪であっても身内の私的紛争の延長上にあることは否めなく、ほとんどが民事裁判の範疇です。

これは筆跡が見るからに異なっていて明らかに別人の書いたものだと誰が見ても明らかであれば、鑑定の必要はないかもしれません。

(しかし、明らかに筆跡が異なっていてもその偽造遺言書が通ってしまうことだって珍しくないのです。だから万全を期すために筆跡鑑定書を証拠として用意するのですが)

もし、あなたが遺言状を偽造するとしたら自分の筆跡をそのまま出して書くでしょうか?

たぶん、遺言状を書いた人の筆跡を手に入れて真似して書きませんか?

そうなると、あなたが書いた偽造遺言状はぱっと見たときに本物に見えるわけです。

これが筆跡心理学を採用しない筆跡鑑定の限界なのです。

なぜなら、その鑑定方法は、文字を分解して一画ごとにこの画は短い、長い、右上がり、縦に長い・・・という

単純な比較分析にとどまっているからです。

ですから、目に付きやすい書き癖を真似して書けば限りなく本人筆跡、つまり「真筆」と判断されてしまうのです。

(次回に続きます)

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