920173月

初めて見たハツさんの笑顔(仮名、79歳)

本日、天気は気持ちの良い快晴で、

太陽の当たる南側の道路の雪はすっかり溶けています。

寒さの厳しい十勝地方にもようやく春の訪れが来たようです。

(自宅前の道路はスケートリンク状態ですが)

本日も出前寺子屋で施設の皆さんと一緒に時を過ごすことができました。

今回は筆跡の紹介ではありませんが、

心に響く嬉しいことがありましたので載せさせていただきます。


ハツさんは弱視で字を読んだり書いたりすることは厳しい状態です。

おまけに手の痛みのせいで、

字を書くなどの指先に力を入れなければならない作業はできません。

そのせいで、いつも私が行くと顔をしかめて首を横に振るのです。

「目も見えないし、手が痛くて無理。」というジェスチャーで、

プリントはいつも前に置いてあるだけの状態でした。

もちろん、その状態ではプリントは無理なので、

「歌だけでも聞いていってくださいね」 と言うのですが

余り良いお顔を見せてくれることはありませんでした。

出前寺子屋はいろいろな状態の人が参加して下さいます。

ハツさんのようにご病気のせいで字を書けない人たちも

歌を聴く形で参加できるように懐メロのBGMをかけてはいるのですが、

様子を見る限りでは、

みんながやっているところをただ見ているのは面白くないのだろうな…と思っていました。

今日も準備をしていると施設内のあちこちから参加者がやってきます。

その中にはハツさんもいました。

両手には保護のための白い手袋。

片方の手はそのうえからさらに毛糸のミトン。

見るからに痛々しい様子です。

そのままエレベーターの前に行ったので

「今日も参加されないのかな、やっぱり歌を聴くだけじゃ面白くないのかな。」

と思っていたところ、ハツさんがエレベーターには乗らずにこちらを向いたので声をかけました。

「手の状態はどうですか?」

(手でダメのジェスチャー)

ああ、参加されないんだなと思ったので

「お大事にして下さい」とあいさつをしました。

すると、ハツさんが思いがけず口をきいてくれたのです。

「手が痛いし見えないからできないけど、歌を聴けるから良いね。歌、きかせてもらおう。」

初めて見たハツさんの笑顔、別人のようでした。

輝いていたのです。

この表現は決して大げさではありません。

その感情がこちらにダイレクトに移ってきました。

私はたったこれだけのことで幸せな気持ちに包まれました。

人の笑顔はすごいパワーがある。

やっていてよかった、つくづくそれを感じた瞬間でした。

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